着物の心と伝統

着物の柄の意味や知識

着物には、家族の想いを伝える力があります。
皇后美智子さまがご皇室に嫁がれるとき、ご両親は鞠の柄の入った着物を贈られました。コロコロと転がる鞠の丸い形には「いつまでも円満に幸せが続きますように」そして切れ目のない糸で作られている鞠に「民間から皇室に嫁いでも親子の縁は決して切れないよ」という想いを込められたのです。
このように、伝統的な着物の絵柄一つ一つに幸せを願う意味が込められています。

気持ちで着る「気物」

きものは着る物ではありますが「気物」(気持ちで着る物)という面もあります。
近年結婚式や成人式などの祝儀、お葬式などの不祝儀の礼装も「レンタル」される方が多くなりました。きものの中でも特に礼装着には意味があります。黒留袖は既婚女性の第一礼装。結婚式の披露宴などで新郎新婦の母や親族などが主に着用します。親族はゲストをお招きする立場。列席者はこれまで新郎新婦がお世話になった方、今後もお世話になる大切な方々です。その方々に感謝の気持ちと「これからもよろしくお願いします。」という気持ちを込めて最も格の高い留袖を着ることで礼を尽くします。

不祝儀の喪服も同様。告別式では近親者の他、参列者の中にも喪服で参列される方もおられます。親族が参列者より格下の衣装で出席するわけにはいきません。
ご親族のご葬儀に喪服を着るのは亡くなられた方への最大の敬意と感謝の気持ちを伝えるため。人と人とのつながりを重んじる日本人だからこそ、着る物で気持ちを表す。これからも大切にしてほしい文化だと思います。

着物の職人

職人の技「手描き京友禅」

京友禅は大きく分けて、「手描き染め」「型染め」という技法があります。
「型染め」は模様を彫った型紙を白生地の上に置いて色糊などを用い染める技法です。
色数が多くなればなるほど、使用する型紙の数も多くなります。
「手描き染め」
は糸目糊という防染を施し、筆や刷毛を用いて色を挿します。

手描き京友禅ができるまで

  • 企画
    手描き友禅は、まずどのような着物に仕上げるか企画を練ります。
  • 意匠図案作成(下絵)
    熟練した職人が意匠図案を作成します。
  • 下絵職人

    工程1「あたり」工程2「型におこす」

    着物の良し悪しはこの下絵工程で8 割方が決まってくる、重要な工程です。
    下絵職人「櫻本正義氏」は多数のスケッチを日頃から描いておられ、それが元になって枝の付き具合、葉のねじれ具合など様々な植物の特徴を正確に下絵に反映できます。実際に見て描いているからこそ、アレンジを加えて良いモノが描けるのです。
    この下絵は一朝一夕では身に付かず後継者がいません。一人前になるのに何十年も掛かります。「あたり」からアレンジを加えてデザインを紙の「型におこす」作業。このアレンジには正解が無く、技術と経験、センスが必要とされます。下絵の技術は何十年の経験と職人の努力、感性の賜物なのです。
    下絵イメージ
  • 生地の決定
    意匠図案が決まれば、その衣装に適した白生地を選択します。
  • ゆのし
    白生地は長さや幅を整えるため蒸気で生地を伸ばす「ゆのし」という作業を行います。ゆのしは、発色を促し、生地に光沢を与えるという効果もあります。
  • 検尺・墨打ち
    着物の袖・身頃・衽などの各部分を割り振るため「検尺・墨打ち」でしるしをつけます。
  • 仮絵羽仕立て
    留袖や振袖、訪問着などは絵羽模様(きもの全体に絵画のように描かれる模様)が多いため、白生地を一度きもの形に仮縫い(仮絵羽仕立て)します。
  • 下絵描き

    意匠図案に基づき青花液(水で洗い流せる)などで「下絵」を描きます。

    工程3「下絵を描く」

    次工程の友禅の事を考えて写実的な絵にはしません。
  • 糊置き(細目糊)
    仮絵羽をほどき、下絵の線に糊を置く「糊置き」をします。絹の生地は染料がにじみやすいため、糸目糊をすることで防染する働きがあります。
  • 糊置き
    チューブに入れた糊を絞り出して筆で描いた様なタッチで下絵の上にのせていく作業です。糊を絞りだすのには結構力が必要で、タコが指に出来る程です。写真は職人「高鳥修郎氏」です。
    置き方が甘いと友禅の工程で色がなく(糊を越えてはみ出る事をなくという)ので高い技術が必要とされます。実際に糊のタッチに見えない下絵以上に繊細な線で糊を置かれています。糊はもち米から作られた物で職人さん自ら作ります。
    糊置き作業①
    糊置き作業②
  • 伏糊
    挿し友禅を施す模様部分に糊をムラ無く置き、挽粉をふりかける「伏糊」を施します。こうすることで、模様部分が染料に染まらないようにします。
  • 引染(地染め)
    地の色を生地全体に染めるため「引染(地染め)」を行います。
    刷毛を使用して生地全体をムラ無く染めるには高度な技術が必要です。
  • 蒸し
    地色を定着させるため約100 度の蒸気で「蒸し」の作業をします。
    濃い色は何度も繰り返し行います。
  • 水元(水洗い)
    蒸し上がった生地は綺麗な水で洗い流す「水元(水洗い)」をし、余分な染料や伏糊を洗い落とします。その昔「友禅流し」と呼ばれていた作業です。
  • 挿友禅
    模様の部分に筆や刷毛を使って「挿友禅」をします。
  • 基本約7 色の粉状の染料をとき合わせ、限りない種類の色を作りだします。この色は職人独自の色で決して真似できません。色を組み合せするセンスはやはり何十年の経験が必要です。プリントなどでは出せない色やグラデーションを表現することができ、同じ色を重ねても微妙に違う色になります。
    写真は職人「南部克己氏」です。前工程の下絵と糊置きの出来栄え次第で友禅の出来ばえも左右され季節によっても冬場など気温が下がると友禅が入りにくくなります。
    友禅作業風景②友禅作業③
  • ゆのし
    再び「ゆのし」などの工程を経て色を定着させます。
  • 金彩・刺繍
    京友禅ではこの後「金彩」や「刺繍」を施すことによってより豪華な模様に仕上げるのが特徴とされています。
このように手描き染めは出来上がりまでに数ヶ月を要することもあり、量産できる型染め技法が多く使われるようになりました。近年インクジェットによるプリントきものが安価でお求めやすくなっていますが熟練の職人が心と技で作る京友禅は、「着たくなる」きものです。

着物の知識

着物は大きく2つに分けられます

着物は大きく2つに分けられます

染めの着物 ~ フォーマルから普段着まで

生糸と呼ばれる絹糸を織り上げた白生地に色柄を染めるきもの。白生地には、糸を撚り合わせた絹糸を織ってできる「縮緬」が代表的。一般的には染めのきものが格上とされ、フォーマルな場所では染めの着物が主流です。留袖、振袖、喪服などの礼装着、訪問着、付下げ、色無地など準礼装着としてお召しいただくきものは染めの着物が基本です。染めの技法は数多くありますが、絵画のように美しく表現される「友禅染め」はその代表であり、制作工程はおよそ20。その工程全てに熟練の職人の技を必要とします。
中でも「京友禅」は、完全分業制で、一枚の着物が出来上がるまでに多くの職人が関わることから、どこかで手を抜くといったことが許されません。それだけに、完成した京友禅は世界中の人のこころを魅了する美しいきものになるのです。

織りの着物 ~ お洒落着& 普段着に

真綿を紡いだ紬糸を先に染めてから模様を織り出すきもの。「紬」は織りのきものの代表で、一般的には礼装には不向きとされています。「紬」とは絹糸を使用したものをいいます。織りのきものには紬のほか木綿や麻などを使用したものもあります。「結城紬」は紬糸を織った代表的な紬でユネスコの重要無形文化財にも指定されています。また、「大島つむぎ」も織りのきものですが、大島つむぎはもともとは紬糸で織られていましたが、今では先染めした生糸を使用して織られています。織りのきものは日本全国に産地があり、それぞれの気候風土に合った特徴があります。これらの違いを感じながらお洒落着として、また普段着としても楽しめるのも織りのきものの良いところです。
着物の格と着用シーン

着物の格と着用シーン

種類 様式 イメージ 着物の詳細 着用シーン
黒留袖 礼装 黒留袖 既婚女性の慶事の第一礼装。黒地に染め抜き五つ紋をつけた絵羽裾模様のきものです。「慶びを重ねる」という意味から比翼仕立てにします。 結婚式披露宴での新郎新婦のお母様親族の女性、仲人婦人が着用。
色留袖 礼装 色留袖 黒以外の色地の裾模様で、既婚、未婚を問いません。五つ紋は黒留袖と同格の第一礼装となります。
三つ紋、一つ紋など紋の数によって格が決まります。
結婚式、金婚式、授賞式など格式のある慶事のフォーマルな式典に。
振袖 礼装 振袖 未婚女性の第一礼装。袖丈の長さによって大振袖、中振袖、小振袖があります。華やかな織りの袋帯と合わせ、やや太組の帯〆、絞りの帯揚げ、重ね衿をすることで、着物の中で最も豪華な装いになります。 成人式、式典、卒業式謝恩会、友人の結婚式披露宴、ご本人の披露宴のお色直しなどに。
訪問着 準礼装  訪問着 訪問着は、主に胸、肩、袖、裾など着物全体に模様付けされています。吉祥文様など古典的な柄なら、準礼装としてもお召しいただけ、一枚あれば、幅広くお使いいただけます。 式典、お茶席、やや格式のあるパーティー、親族・友人の結婚披露宴に。
付下げ 準礼装  付下げ 付下げは、着尺(反物)の状態で、模様付けします。仕立てた時に前身頃、後身頃などに模様が全て上向きに配置されるよう染められています。訪問着に比べ柄付けが比較的少なくなります。 柄によっては訪問着格に。カジュアルなパーティー、入学・卒業式などに。
色無地 準礼装  色無地 黒以外の色で一色に染めた着物。生地に柄を織り込んだ(紋意匠)縮緬を使用することが多く、地紋によって雰囲気が変わります。紋を入れると準礼装としてお召しいただけます。袋帯と合わせてお茶席、記念式典にもお召しになれます。 観劇やパーティー、お子様の卒業式などスーツを着ていくような場面に。
小紋 普段着 小紋 きもの全体に様々な模様を繰り返し染めたきもの。小さな模様の繰り返しのものが多いため、型染めが用いられます。柄を所々に散らした「飛び柄」の小紋もあります。お洒落着として楽しむ場合が一般的です。 同窓会やお食事会、古典模様なら、ご友人のレストランウェディングに。
黒喪服 礼装 黒喪服 喪服は、既婚、未婚の区別はなく、染め抜き五つ紋付です。比翼や重ね衿は「悲しみを重ねない」という意味で付けません。帯も黒の名古屋帯で二重太鼓はしません。地方によって通夜、一周忌
など法事の際に、色喪服を着る風習の残っているところもあります。
葬儀や告別式で着用。
普段着 紬 真綿糸、玉糸などを用いて先染めし、織り上げたきもの。全国各地に産地があり、無地風のものもありますが、絣、縞、格子などが主流です。絣で模様を織り出すものは大変な手間がかるため、「結城紬」「大島紬」など高級紬とされています。 普段着やお洒落着に。
木綿 普段着 木綿 木綿や麻糸を使用した織りの着物もあります。着物初心者の方やジーンズ感覚で着物が楽しめます 普段着やお洒落着に。
浴衣 普段着  浴衣 浴衣は元々入浴時に着ていた「湯帷子」が湯上がりに着るものに変化し、江戸時代外着としても着られるようになりました。色、柄も豊富で、自由に、気軽に楽しんでいただけるきものです。 基本的には梅雨明けからお盆位の期間ですが、気候やお祭りなど柔軟にお召しになっても結構です。

着物のお手入れ

きもののお手入れ・加工について

虫干し

できれば年に一度、空気の乾燥した天気の良い日に、着物を着物ハンガーにかけ陰干しする。気候の良い春か秋がお薦めです。
(直射日光に当てると変色の原因となるため必ず室内干し)

虫干し代行サービス

お忙しい方のために虫干し代行サービスを行っています。電話一本でご自宅を訪問し、きものをお預かりし、虫干し、たとう紙替えの後、たんすへの収納までさせていただきます。きものをたとう紙に入れたまま直接持ち込んでいただいてもOK です。
(一例:着物1枚600 円)

たとう紙替え

湿気を含んだたとう紙はカビの原因になりますので、定期的にたとう紙の交換をお薦めします。

たとう紙交換サービス

たとう紙を交換し、着物の画像シールを貼付しますので、たとう紙を開くことなく中の着物が分かります。
(たとう紙代(和紙入り)のみ1枚360 円~)

カビ・古シミ落とし

カビや古シミは早期発見、早期対応が着物を長持ちさせる秘訣です。正絹きものの場合、程度にもよりますが、カビや古シミは綺麗に落とすことができます。

お見積り無料

カビ落とし、古シミ落としお見積もりの上作業にかかります。お気軽にご相談下さい。


染め替え

着物の色を染め替えいたします。「若い頃に作ったきものの色が派手になった…」という経験はありませんか?年齢にあった色に染め替えができます。新しく仕立てるより格安で、染め替えによって新品同様の着物に生まれ変わります。

お見積り無料


ちょっと鮮やか過ぎる着物も落ち着いた色味に染め替え

汚れ落とし

きものを着用後は、できるだけ汚れ落としをしましょう。汗をかくと、汗染みが古シミに、汚れがカビの原因になります。

お見積り無料

汗抜き
汚れ落とし
丸洗い
シワ伸ばし

などお見積もりの上、作業にかかります。

ガード加工

お手持ちの着物にガード加工を施すことで、汚れがつきにくくなります。着用後のお手入れも費用をお安く抑えることができます。

お見積り無料

お気軽にご相談ください。

寸法直し

お嬢様やお孫様などにお着物を譲られる場合の寸法直しや半衿取付なども承ります。お子様の浴衣や七五三着物などの肩揚げ、腰揚げも承ります。

お見積り無料

お気軽にご相談ください。

お仕立て

お持ち込みの反物のお仕立ても承ります。
近年インターネットで反物をご購入される方もありますが、アフターサービスの無い場合が多く、どこに仕立てを頼めばよいかお悩みの方。お持ち込みいただければお仕立てをいたします。

お見積り無料

お気軽にご相談ください。